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箱庭療法とは…


 箱庭療法は、20世紀初頭、イギリスの小児科医によって心理的な問題を抱えた子どものための 心理療法として使ったのが始まりとされています。 その後カルフ女史によってユング心理学に取り入れられ、日本には、1965年河合隼雄氏によって、 導入されました。河合氏は、ヨーロッパのように精神分析に使うだけでなく、心理療法として、 「自由に箱庭を置く」事を重視されました。その結果、日本においては、 一般の人のリラクゼーションにも幅広く使われるようになりました。
 心が疲れているとき、砂にふれ、ミニチュアを置くと、日常のあわただしさに紛れて、 今まで忘れていた大切な事を思い出すことがあるかもしれません。また自分自身の内面に向かい合い、 大きな気付きを得られるかもしれません。箱庭の世界では、作る人が、主人公です。 自分が主人公の世界でこそ、自分自身を取り戻せると思います。




◇「まてりあ」での箱庭事業◇

 「まてりあ」では、ひきこもりの児童、青年、保護者の方を対象に、箱庭体験を行なってきました。 箱庭のミニチュアは、それぞれ心理的意味のあるものがあり、箱庭のセットそのものは、 大変高価なものです。「まてりあ」では、独立行政法人福祉医療機構より助成金をうけ、購入しました。 このような貴重な箱庭を、もっと多くの方々に体験していただきたいと毎年さまざまな企画をしてきました。
 現在「まてりあ」で毎年行なっているのは、子ども対象のプログラムです。
(東京高専サイエンスフェスタ・八王子いちょう祭りわくわく子ども広場)
 その他、子育て中の母親のグループ、高齢者デイサービス、大学生のグループにも出張いたしました。

◇箱庭体験の流れ◇

<箱庭の用具>



【砂箱】
 縦:57cm、横:72cm、高さ:7p
 内面を水色に塗ってある。
 (水、海、川、池、湖などを表現できる。)
【砂】
 海の砂、川の砂など、手触りや色の違う砂が使われる。
【ミニチュア】 
 木、人形、怪獣、乗り物、家など。

<箱庭の置き方>

@ まず砂を触ってみるのもひとつのやり方です。箱は水色に塗ってあります。 砂を掘ると水が出てきます。川、池、湖、海も出来ます。 山を作っても、砂に模様を描いてもいいでしょう。

A ミニチュアの棚をゆっくり見てください。何か心惹かれたり、 置いてみたいと思うものはありましたか?手にとって見てください。

B ミニチュアは、ひとつずつ取ってきて置いてもいいですし、沢山集めて置いてもかまいません。 自由に置いてください。

C 並べている間にも、砂を自由に作り変えてください。

D 置く場所は、気持ちにぴったり来るところに置きましょう。 ぴったりしないときは何度か変えてみてください。

E もうこれでいいなと思ったら、終わりましたと告げてください。

F 時間は原則的には自由です。


<箱庭を、みんなで味わいましょう>

  〜グループワークの場合〜

@ 箱庭を作った人の気持ちを聞きます。何も言いたくなければ言わなくても大丈夫です。

A 箱庭を見るときは、基本的には分析はしません。

B 作品を味わって見ましょう。味わって感じたことを言葉に出してみましょう。 作品全体から受ける印象を大切にしましょう。
(但し感じたことは、感じた人の個人的感想です。マイナスイメージの感じを持ったときは、 自分の問題と関連していることがあるので、注意しましょう。)

C 作った人は、感想の中から受け止められるものだけを、受け止めましょう。


<写真を写します>

写真は、お持ち帰りいただきます。絵と違って上手下手がありませんから、 皆さんにすばらしい作品をお渡しできます。


◇箱庭の効用◇

<幼児期から児童期>

 自我が確立する4・5歳頃からが有効です。本来気持ちを言葉にする事が苦手な子どもにとって、 心を自由に表現する事で、問題行動が治まったり、見守り手と話しながら作る事によって、 自分の気持ちを言葉にする事ができ、心に溜まっているものを表出する事ができます。

<思春期〜青年期>

 第2反抗期と言われる時期です。自分の不安定さや、混乱、世間の常識にとらわれない自己などを 客観的にみる事によって、自分にとって何が必要なのか等、思春期の課題を捉えながら、 乗り越えていく事ができます。

<子育て中の母親>

 子ども中心の生活の中で見失っている、自分を取り戻す事。自分自身の世界を作ることで、 子ども独自の世界を、自分と切り離して、客観的に見る視点が養われます。 (親子箱庭など)子どもの箱庭をみる事によって、子どもの世界を知り、 子どもとのコミュニケーションを図るきっかけとなります。

<成人から高齢者>

 絵を描くことが苦手な方も、童心に返って楽しむことが出来ます。砂の感覚が、 懐かしい気持ちを呼び起こし、幼いころの場面を置かれる方が多くいらっしゃいます。 日常を離れて、自分が主人公の世界を作る事は、大人だからこそ必要な事ではないでしょうか。
 表情が乏しかった方も、箱庭を作った後は、明るくなり、感情が動いているのを感じられます。 作りながら話し始める方が多くいらっしゃいます。グループでの鑑賞は、相互理解が深まります。