紙と竹


作成2012年5月4日

このページの最終更新日は2012/06/09です。

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主題「日本の鷹道具」

 このページでは摩(采という文字を使う場合も有り)の製作工程をご紹介します。 今年(平成24年)のゴールデンウイークは異常な雨降りで予定通り物事が進まず、暇になり、家の片付けをする事になったのですが、ハタキが無いのでハタキを作る事にしました。そこで、どうせハタキを作るなら摩も作ってしまおうと思い、今回 10本ばかり作ってみました。

その内、Yahooオークションで この手作りハタキ(和紙製)を売ってみようかとも考えています。1本1000円位にしないと元が取れませんが多分売れないでしょう。

1.材料の準備

 初めに竹の棒と桐の枝を用意します。竹は末口径三分の細い物で、長さは二尺五寸を本とします。桐は長さ一寸に切ります。特に竹は火で焙って曲がりを修正しておきます。縛り付ける タイプなら空木の方が良いでしょう。

 2.桐材の加工

  桐の中央に竹の棒を差す為の穴を開けます。この桐の木が和紙を貼り付ける心材となります。削ってから穴を広げると木が割れるので最初に開けておきます。

  竹の棒がゆるみなく入る様に穴を削って合わせます。

  次にテンプレート(型)を当てて鉛筆で円を描きます。

 ノミで線に沿って円柱状に割ります。 ここでは貼り付けるタイプを紹介します。これよりも一回り小さい円柱にして紙を巻きつけて縛れば縛り付けるタイプが出来ますし、太い竹の棒を使えば心材もい らない本来のおタイプが出来ます。また、この桐をもっと太くして隼を止まらせて 直接回収に使っている人も見受けられます。

 次に、これを削って程好い鉢形に仕上げます。また、この段階では表面はノミで削ったままにしておきます。凸凹 が有った方が紙が張り付きやすいからです。

 最後に竹と木を固定します。錐で穴を開けて竹釘を刺して木が抜けない様にします。ここで手を抜きたい人は木工用ボンドで済ます所でしょうが、やはりちゃんとしておいた方が良いでしょう。竹の穴を開ける面や竹釘の先端の処理等にも 多少秘訣が有ります。

3.紙の準備

 紙は障子紙を使います。幅は障子紙の幅(美濃版)に合わせます。和紙の銘柄は西之内紙を使うのが本筋です。幅一寸に切り、三十二枚を用意します。

ここまで準備来たら後は紙を張って行くだけの単純な作業になります。

3.紙張り

作業の効率を良くするには上から吊るして紙を張って行きます。

紙を張り終わったところです。

  今回は紙を張 り付けるタイプを五本と紙を縛り付けるタイプ(一番下)を五本を作りました。後は羽ずるを縛り付ける麻縄を紙と竹の境に縛り付ければ終わりです。個人的には紙を張るタイプは 乾かしながら丸一日掛かるので余り好きではありません。紙を縛り付けるタイプだと一本1時間程度で 簡単に作れます。

 

※  ご要望が多かったので作り方をご紹介しました。なお、ここではページの都合で触れませんが、実際には事前の準備や色々なノウハウが有ります。例えば桐材は伐採後、一年間屋外に置かれたものを貰って来て五年間我が家の床下に眠っていたものです。 縛り付けるタイプなら桐ではなくて空木の方が良いでしょう。

 さて、いかがでしたか。 今回はハタキを作るついでに摩を作ってみました。この摩は普通に指揮用に使うもので、隼の回収に直接使う物 では有りませんが、(回収方法が違うだけで回収出来ない訳ではありません。)ここで使っている木をもっと太くすれば直接、隼の回収に使う事も可能だそうすが、一日持って歩くには 重すぎます。今回紹介したタイプが一番です。特に縛るタイプが良いと思います。貼り付ける紙の寸法にも枚数にも決まりが有り、それなりの理由が有ります。余りに紙の幅が狭いと隼の脚に絡み付いて具合が良くありませんし、必要以上の枚数も必要有りません。この辺はやはり伝統に従った方が良いと思います。


 さて次に本来の摩の作り方を紹介します。


1.紙の準備

 この辺までは今迄と全く同じですが、紙を半分に折ります。そして三十三枚目は四つに折ります。さらに三十四枚目はそのままの幅とします。



2.竹の準備

 今回は太い竹を使用します。末で直径五分の物を用意し、先のほうはザラザラに仕上げておきます。

 次は三十四枚目の紙を糊で貼り付けて、余りを切ります。

3.紙の取付け

 半分に折った三十二枚の紙を糸を使って巻きつけます。

 全部取り付けるとこんな感じになります。 そして、三十三枚目の紙を準備します。

 三十三枚目の紙を糊で巻き付けます。

 巻き付けた所から反対に折返します。

 タコ糸で縛って完成です。

 出来上がりはこんな感じです。使うまではこのまま保存しておきます。

 いざ使う段になったら。折り目を反対に折って拡げます。

4.仕上げ

 次に、羽づるを縛り付ける為の紐を取付けます。麻紐を写真の様な輪にします。

 竹に取り付けるとこんな感じになります。

 これを思いっきり締め付けます。

  さらに本結びでもう一回縛ります。後は、ここに羽づるの根元を縛り付ければこれで使える様になります。この羽づるを直接食べさせる訳では有りませんから、胸肉は作餌にして餌合子に入れて置きます。

 これが今回のオールメンバーです。糊は特に大和糊の和紙用を使っています。

 結局、ハタキは一本作っただけですが、摩は三種類で十二本作りました。

 「紙と竹」はいかがでしたか。結局、ハタキを作る予定が摩を十二本作りました。これがこのゴールデンウイークの成果?です。

 

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