2. ベクトルで考える戦術(基礎)

2.14 ツッツキラリーの基本

ここではツッツキによるラリーの基本について述べる。 ツッツキは卓球の入門時代の覚えるものであるが、確かな知識も無い時期に習得し、その後、修正もされないままの技術だ。
シッカリした技術を習得すれば繋ぎだけでなく、攻めにも使える。

ツッツキラリーの基本は、相手のスイングのツッツキ角度と90°となるようにツッツクのが基本なのだ。
そうすることによって、球が安定し相手コートに低い弾道で速い球を送ることが出来る。

図の見方を説明する。

  1. 図はツッツキラリーを側面から見たものである。
  2. 自分が使用するラバーは裏ラバーを想定している。
  3. 赤い矢印はラケットのツッツキ速度で方向と大きさを表している。この振り下ろし速さは、2.14.1節 「相手の裏ラバーが45°でツッツキした時」の振り下ろし速さを"1.0"として基準としており、効果を比較する為に全てのケースで同一であるとしている。
  4. 緑の矢印は君から繰り出されるラケットの振り下ろし角度に応じた球の回転速さだ。矢印の長さは、2.14.1節「相手の裏ラバーが45°でツッツキした時」の回転速さを"1.0"としてその比で示した長さとなっている。回転速さはラケットの垂直応力に比例するので、ラケットの振り下ろし角度のsin θを乗じた値となる。
  5. 黒の矢印は相手から繰り出されるラケットの振り下ろし角度に応じた球の回転速さだ。矢印の長さは、2.14.1節「相手の裏ラバーが45°でツッツキした時」の回転速さを"1.0"としてその比で示した長さとなっている。回転速さはラケットの垂直応力に比例するので、ラケットの振り下ろし角度のsin θを乗じた値となる。

2.14.1 相手の裏ラバーが45°でツッツキした時

(A)安定した良いラリー

安定なラリー

この図は、相手が45°の角度でツッツキし、それに対して君が45°の角度でツッツキを返したときの図である。君の球は低回転となるが相手と同様な軌道を描き相手のコート深くに到達する。

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2.14.2 相手の裏ラバーが上向きでツッツキした時

(A)攻撃的な安定したラリー

安定なラリー

この図では、相手が30°の角度でツッツキし、それに対して君が60°の角度でツッツキを返したときの図である。
相手の回転スピードは45°の70%程度となる。一方、君のスピードは122%となる。その差は52%の下回転となって相手へ戻る。

君と相手とのツッツキ角度が90°となるようにツッツクことが大事だ。

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(B)失敗確率が高いラリー

安定なラリー

この図では、相手が30°の角度でツッツキし、それに対して君も30°の角度でツッツキを返したときの図である。

自分のラケットが上を向いているので球が飛距離を取れずにネットに引っ掛かるか、球が浮いてしまい相手の攻撃を受けやすい球種となってしまう。

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2.14.3 相手の裏ラバーが下向きでツッツキした時

(A)防御的な安定したラリー

不安定なラリー

この図では、相手が60°の角度でツッツキし、それに対して君が30°の角度でツッツキを返したときの図である。
相手の回転スピードは45°の122%程度となる。一方、君のスピードは70%となる。その差52%はラバー反力によりの下方向の飛びとなって相手へ戻るが、ラケットを上向きにしているのでネットに引っ掛かることがなく、相手コートの深くに戻っていく。

君と相手とのツッツキ角度が90°となるようにツッツクことが大事だ。

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(B)失敗確率の高いラリー

不安定なラリー

この図では、相手の60°の角度でツッツキし、それに対して君も同様な角度でツッツキした時の図である。
自分のラケットが下を向いているので、その分、球は飛距離を取れずにネットに引っ掛かってしまうのだ。

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2.14.4 相手の表ラバーが下向きでツッツキした時

相手の表ラバーは、君の裏ラバーに比べてスピン係数が小さいので、ツッツキした時の回転は小さくなることから、2.14.2節「相手の裏ラバーが上向きでツッツキした時」に似てくる。したがって、ラケットを下向きにしてツッツキすればよい。

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2.14.5 相手の粘着ラバーが下向きでツッツキした時

相手の粘着ラバーのスピン係数が、君の裏ラバーに比べてスピン係数が十分大きい時、相手と君の回転の差が下向きに働くことからネットに引っ掛かることを避ける為に、2.14.3節「相手の裏ラバーが下向きでツッツキした時」に似てくる。したがって、ラケットを上向きにしてツッツキすればよい。

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