2. ベクトルで考える戦術(基礎)

2.13 ドライブラリーの基本

ここではドライブによるラリーの基本について述べる。 ラリーの説明だから、もっと早いセクションで説明したかったが、 これを説明するのには、無効ベクトルを回転合成に反映させたベクトル図となるので話が複雑になる為に避けてきた。 無効ベクトルついては7.2節「スピン合成とベクトル表記の考察」詳しく述べているので、そちらを参照されたい。

君は、ゲーム前のウォーミングアップで行うラリーを通して、ラリーの上手い人とでは球が安定しているのに、 ラリーの下手な人とでは球が不安定になることを経験しているだろう。
ラリーの上手い人は、その理由を体感で知っているのだ。相手に合わせることが出来るのだ。逆に言えば相手に合わせないことも出来ることでもある。 このページを理解出来れば君は様々なラリーで有利に立てるだろう。
何故、そうなるかを説明しよう。

ラリーの基本は、相手のスイングの鏡面にスイングするのが基本なのだ。
相手のスイングがΘカーブ・ドライブ(θRT)ならば、君はシュート・ドライブ(LT)のスイングをすれば、球はシュート・ドライブ(LT)になる。ドライブ系なのでコートに入り易く安定した軌道を描く。
相手のスイングがΘシュート・ドライブ(θLT)ならば、君はカーブ・ドライブ(RT)のスイングをすれば、球はカーブ・ドライブ(RT)となる。

しかし、相手のスイング:Θカーブ・ドライブ(θRT)に対して、君がカーブ・ドライブ(RT)のスイングをすれば、自分の意図としたカーブ・ドライブ(RT)とはならずにカーブ(R)になる。 カーブ(R)なので球が思いのほかに飛距離がでてしまいコートを外すことになる。

ここで使う図は、

  1. ○枠内の番号は、打球の順番であり、□枠内の番号は球の飛行順番を示しいてる。
  2. 球には回転ベクトルが書かれている。
  3. 赤のベクトルは君が加えるベクトルを示し、オレンジのベクトルは相手が加えるベクトルを示している。また、緑のベクトルは君から相手へ向かう球の回転ベクトルを示し、黒のベクトルは相手から自分に向かう球回転ベクトルを示している。
  4. 破線の赤のベクトルは赤のベクトルの無効分、破線のオレンジのベクトルはオレンジのベクトルの無効分を示している。

2.13.1 安定なラリー

安定なラリー

この図は、安定したラリーをしている時の、対戦相手と君のスイングとボールの回転の遷移を示したものである。

対戦相手は①でΘカーブ・ドライブのスイングでラリーを開始し、③、⑤、⑦と通している。

一方、君は相手からの返球に対し、②、④、⑥と通して鏡面のスイング(シュート・ドライブ)で対応している。

Ⅱ、Ⅳ、Ⅵは、相手側コートに向かう回転だ。
Ⅰ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅶは、自分側コートに向かってくる回転だ。

このスイングの特徴は、
1. 相手も自分もスイングで与えた回転と、飛んでいく球の回転が同じ方向を向いている。君の意図と実際の球の回転が一致している。
2. 球の回転がラリーの最初から最後までドライブ系の回転であるのでコートに入りやすい状態が続いている。

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2.13.2 不安定なラリー

不安定なラリー

この図は、不安定なラリーをしている時の、対戦相手と君のスイングとボールの回転の遷移を示したものである。

対戦相手は①でΘカーブ・ドライブ(θRT)のスイングでラリーを開始し、③、⑤、⑦と通している。

一方、君は相手からの返球に対し、②と④では相手と同様なスイングのカーブ・ドライブ(RT)で対応し、⑥では相手のスイング対して鏡面のスイング:シュート・ドライブ(LT)で安定なラリーに戻している。

Ⅱ、Ⅳ、Ⅵは、相手側コートに向かう回転だ。
Ⅰ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅶは、自分側コートに向かってくる回転だ。

このスイングの特徴は、
1. サーブで開始する相手の場合は、スイングで与えた回転と球の回転の方向が一致している。
2. レシーブで開始する自分の場合は、②と④ではスイングで与えた回転はカーブ・ドライブ(RT)なのだが、打ちだされる球はカーブ(R)となっている。君の意図と実際の球の回転が一致していない。
3. 軌道ⅡとⅣでは、球の回転軸が立ってしまい飛距離が長く力の加減をしなければならず不安定なのだ。
4. そこで、⑥では相手のスイングに対して鏡面にスイングして安定に戻している。

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2.13.3 ラリーの法則

安定したラリーと不安定なラリーを相手からのΘカーブドライブの回転を一つの例として見てきた。 ここで述べたラリーにおける回転のコントロールは、すべとの回転に共通している。カット系やクロック系の回転についても言える。

<ラリーの法則>
ラリーは、相手のスイングに対して鏡面にスイングすれば、スイングと球の回転方向が同じとなり安定した飛びとなる。
相手のスイングと同じにスイングすれば、最初にレシーブした側においてスイングと球の回転方向に差が生じラリーが不安定になる。

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