3. 基本戦術を支える振りの戦術

3.1 ラケットスイングの基本姿勢

基本戦術を支える振りの技術の具体例を話す前に、「ラケットスイングの基本姿勢」と「緊張の緩め方」について話す。全ての振りの技術は基本姿勢がベースとなっているからね。

3.1.1 ラケットスイングの基本姿勢

昔、私はフィニッシュした時に、体が回転を止められないという悪い癖があった。 これでは連続のスイングにも支障があるし、打球点のインパクトも弱く強い打球を出すことが出来ていない。
しかし、この姿勢の問題点については、自分では気づかない欠点でもあるし、 なかなかコーチから適切な解決策を示されない欠点でもある。

もし、君がラケットのスイングについて、疑問を持っているようなら、 利き腕で、3キロ程度(体重の6%程度)の錘を握って、ラケットを振るように振ってみてみると分かる。
振った後の腕を止めることが出来ず、体が流れているようなら、ラケットスイングの基本姿勢を見なおす必要がある。 以下にラケットスイング基本姿勢をのべておく。

ラケットスイングの基本姿勢

足は肩幅程度に広げ、背筋を伸ばし、上体を前傾させてから、膝を曲げていくようにし、体重を腰に載せ、 そして、その体重を膝に載せ、踵は少し床から離す。 上体を前傾しすぎないように調整する。これが、ラケットを振る時の基本姿勢だ。

この状態で、錘を握って、ラケットを振るように振ってみると、自分の体重を、スイング中も、体の中心に置くことができる。 振った後の腕を止めることが出来、体が流れることもなく、しっかりと錘を制御できる。

ゲーム中は常にこの姿勢を意識する。

実はこの基本姿勢は、実は筋力トレーニングで背筋の鍛え方やスクワット等のスタート姿勢の応用であり、腰や膝関節を傷めない姿勢でもあるのだ。

ラケットスイングの基本姿勢

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3.1.2 緊張の緩め方

私にはラケットを強く振る時に、息を肺に溜めて「ウッ」と力んでしまいラケットが振れないという悪い癖があった。体に力が入り固まってしまうのだ。

力を抜くと言っても、筋肉の緊張を解かずに肩の力だけを抜くのは難しいのだ。 人に色々教えをうけたが、なかなかうまくいかなかった。
「シュ」と息を吐けと教わったこともあったが、「シュ」では舌で空気を止めることが出来てしまうし、 過呼吸となり頭に酸素が不足し戦略を考えることが出来なくなる。 「シュ」では「ウッ」と繋がって「シュウッ」となってしまい、最後に息を溜めてしまう点で結果は同じであった。 

何とか改善できないかと考え、そこで、ドライブの上手い人を観察していたら、彼等に共通の特徴があった。 彼等はゲーム中にニヤニヤしていることが多いのだ。笑っていれば確かに力が抜けている。
そこで、「ニッ」と言ってみると、横隔膜が下がり肺の中が外界とつながることが分かった。 この状態では肺に空気が溜まることが無いので力むことが出来なくなるのだ。そして、 過呼吸になることもなく、頭脳は明晰だし心も健康だ。

それ以来、打球するときは「ニッ」と笑い顔を作ることにしている。 試合中にニコニコ笑うことこそリラックスすることが出来るのだ。
力が入っていると「ニッ」とか「ニヤッ」とか口で言ってみて欲しい。リラックスし力みが消えることが分かるだろう。

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