第2部 「ベクトルで考える基本戦術(基本)」の様々な戦術は裏ラバーに対する戦術ではあるが、当然、表ラバーの特徴を考慮することによって適用できる。前節 5.1.4 (C)「表ラバーに対する基本戦術」と併せて、表ラバーに対する攻略法を考えてみよう。
戦術を考える当たって、まず対戦相手である表ラバーはどう戦ってくくるのか、そのラバーの特徴から定まる合理的な戦術を「相手の基本戦略」とし最初に説明し、 その後に、表ラバーから繰り出される球種から定まる合理的な「基本の攻略法」ついて述べる。
左図は自分がドライブで相手にサーブした場合である。
① Ⅰでドライブ(T)でサーブを出す。
② 表ラバーの相手はドライブモーションでナックル(K)で受けるので、自分へはⅡのΘカット(ΘB)で戻ってくる。
③ 表ラバーの特徴をシッカリと理解していないと、この事を勘違いし、ⅡのΘカットをΘドライブと考えてラケットの打球面を下向きにしてブロックのドライブ(T)として受けるために、 下回転の反力を受けてナックル(K)なりⅢでネットに引っ掛かる。
左図は自分がカットで相手にサーブした場合である。
① 自分がⅠのカットでサーブを出す。
② 表ラバーの相手はカットモーションでナックル(K)で受けるので、自分へはΘドライブ(ΘT)で戻ってくる。
③ 表ラバーの特徴をシッカリと理解していないと、この事を勘違いし、ⅡをΘカットと考えラケットの打球面を上向きにしてブロックのカットで受けるために、上回転の反力を受けてナックル(K)となり、Ⅲで相手へプレゼントボールになる。
表ラバーは飛びが大きく摩擦が小さいことから、レシーブでは飛距離が伸びるので、君が横回転の速いサービスをバック側深くに送りテーブルアウトを狙う。戻って来た球は、2.2.3節「横回転をドライブで返球」に基づき3球目攻撃する。更に戻って来た球は5球目攻撃と畳み掛ける。
① 相手のバック側へカーブ(R)のサーブを出す。
③ 表ラバーの相手はⅠの カーブ(R) をナックル(K)でブロックするので、Ⅱでカーブ(R)が維持されるのでテープアウトとなる。しかしコートに入った場合はシュート・ドライブ(LT)で3球攻撃する。
⑤ 相手がⅢの3球目攻撃をブロックすると、自分にはⅣのシュート・ドライブ(LT)が戻ってくるので、カーブ・ドライブ(RT)を加えてⅤのドライブ(T)で畳みかける。
① 相手のバック側へシュート(L)のサーブを出す。
③ 表ラバーの相手はⅠの シュート(L) をナックル(K)でブロックするので、Ⅱでシュート(L)が維持されるのでテープアウトとなる。しかしコートに入った場合はカーブ・ドライブ(RT)で3球攻撃する。
⑤ 相手がⅢの3球目攻撃をブロックすると、自分にはⅣのシュート・ドライブ(LT)が戻ってくるので、カーブ・ドライブ(RT)を加えてⅤのドライブ(T)で畳みかける。
もう一つ軸回転の攻略法を説明しておこう。軸回転は上下の回転反力を利用出来ないので、表ラバーでナックルで受けると球がショートしたり、ドライブで受けようとすると上回転の反力を使えないので球は予想以上に飛距離を縮めネットにかかる。更に、戻って来た球は最初の軸回転を維持してることから2.5節「前後軸回転に対するドライブとカット返球」に基づき3球目攻撃がし易いのだ。
① 相手のバック側へFコーク(F)のサーブを出す。
③ 表ラバーの相手はⅠの Fコーク(F) をナックル(K)でブロックするので、ⅡでFコーク(F)となりネットにかかる。しかしコートに入った場合はHコーク・ドライブ(HT)で3球攻撃する。
⑤ 相手がⅢの3球目攻撃をブロックすると、自分にはⅣのドライブ(T)が戻ってくるので、Fコーク・ドライブ(fT)を加えてⅤのドライブ(T)で畳みかける。
① 相手のバック側へHコーク(H)のサーブを出す。
③ 表ラバーの相手はⅠの Hコーク(H) をナックル(K)でブロックするので、ⅡでHコーク(H)となりネットにかかる。しかしコートに入った場合はFコーク・ドライブ(FT)で3球攻撃する。
⑤ 相手がⅢの3球目攻撃をブロックすると、自分にはⅣのドライブ(T)が戻ってくるので、Fコーク・ドライブ(FT)を加えてⅤのドライブ(T)で畳みかける。