2. ベクトルで考える戦術(基礎)

2.10 フォア前のさばき方

フォア前に繰り出されるサーブは、大きく4種類ある。カーブ・カット回転、シュート・カット回転、カット回転、ナックルだ。 ここでは、それらの適切な対応について説明する。
横回転もカット回転も既に説明している。フォア前へのサーブ返球も同じ様に回転合成を使う。 相手の振りを見て、即座に打ち方を変えて対応する。
しかし、ここでの打ち方は、球との接触時間を小さくする為に、ラケットを立てて回転半径を小さくした打ち方となる点注意する。フォア前の球は相手からの速度が遅く、ラケット前方にして使うと球が飛び過ぎてテーブルを飛び出してしまうのだ。

2.10.1 フォア前(横下回転)のさばき方

ショートフォアでカーブ回転の処理

左図はフォア前のカーブ・カット回転サーブをドライブで返球する場合である。台の内側からカットしてくるサーブだ。

① 相手がカーブ・カット(RB)のサーブを出した。
② 自分のコートに入ったⅠの回転にシュート・ドライブ(LT)を加える。
③ 相手のコートにⅡのドライブ(T)で返球される。

この解説ではシュート・ドライブ(LT)で対応した図となっているが、Hコーク・シュート・ドライブ(HLT)で対応した方が打ち易いかもしれない。打ち易い方を使ってくれれば良い。

相手が台の内側からカットサーブしてくれば、ラケットを立てて、台内側から球の10時の方向を前方に擦れば良いのだ。

ショートフォア横回転(下軸回転)の処理

左図はフォア前のシュート回転サービスをドライブ返球する場合である。台の外側からカットしてくるサーブだ。

① 相手がシュート・カット(LB)のサービスを出した。
② 自分のコートに入ったⅠの回転にカーブ・ドライブ(RT)を加える。
③ 相手のコートにⅡのドライブ(T)で返球される。

この解説ではカーブ・ドライブ(RT)で対応した図となっているが、Fコーク・カーブ・ドライブ(FRT)で対応した方が打ち易いかもしれない。打ち易い方を使ってくれれば良い。

相手が台の外側からカットサーブしてくれば、ラケットを立てて、台外側から球の2時の方向を前方に擦れば良いのだ。

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2.10.2 フォア前(下回転)のさばき方(その1)

ショートフォア下回転の処理(その1)

左図はフォア前で下回転サーブをFコークでドライブで返球する場合である。

① 相手がフォア前にカット(ΘB)のサービスを出した。
② 自分のコートに入ったⅠの回転にFコーク(F)を加える。
③ 相手のコートにⅡのドライブ(T)となって返球される。

ショートフォア下回転の処理(その2)

左図はフォア前で下回転サーブをHコーク回転でドライブで返球する場合である。

① 相手がフォア前にΘカット(ΘB)のサービスを出した。
② 自分のコートに入ったⅠの回転にHコーク(H)を加える。
③ 相手のコートにⅡのドライブ(T)となって返球される。

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2.10.3 フォア前(下回転)のさばき方(その2)

ショートフォア下回転の処理(その3)

左図はフォア前で下回転サーブをカーブ・ドライブ回転でドライブで返球する場合である。
この振り方はいわゆるチキータと呼ばれる振り方である。

① 相手がフォア前にΘカット(ΘB)のサービスを出した。
② 自分のコートに入ったⅠの回転にFコーク・カーブ・ドライブ(FRT)を加える。
③ 相手のコートにⅡのFコーク・カーブ・ドライブ(FRT)となって返球される。
前節 2.10.2 Fコークの処理では、球に飛びが少ないと感じた時に使ってみると良い。

ショートフォア下回転の処理(その4)

左図はフォア前で下回転サーブをカーブ・ドライブ回転でドライブで返球する場合であるが、チキータでは返しにくい右コーナーに入った球を処理する場合に使う。

① 相手がフォア前にΘカット(ΘB)のサービスを出した。
② 自分のコートに入ったⅠの回転にHコーク・カーブ・ドライブ(HRT)を加える。
③ 相手のコートにⅡのHコーク・カーブ・ドライブ(HRT)となって返球される。

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2.10.4 フォア前(ナックル)のさばき方

ショートフォア下回転の処理(ナックル)

左図はフォア前でナックルをカット回転で返球する場合である。

① 相手がフォア前にナックル(K)のサービスを出した。
② 自分のコートに入ったⅠのナックルのバウンド直後を、ラケットを45°上に向け、軽く前方にナックル(K)で押す。
③ 相手のコートにⅡのカット(B)となって、ネット際に返球される。

この図は、②の受け方の描写が変則となっている。バウンド直後とか、ナックルで押すとかの表現がベクトル図には無い為に無理して書いている。理屈については、1.11.8節 「初速角速度ω0= 0、初期速度V0に対して、水平にラケットを当てた場合」を参考にして欲しい。

このさばき方で大事なのは、ラケットをボールに当てるタイミングがバウンド直後ということ、ボールが跳ね上がる力を回転に変えているからだ。
ボールとラケットを当てるタイミングはト・トンであって、トーン・トンでは無い。

また、ボールの跳ね上がる力を利用しているので、ボールの後ろでも、横でも良いのだから、返す方向を自由に変えることができる。但し、ラケット面は45°上に向ける必要がある。

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