リハビリと放鳥


作成2007年9月10日

このページの最終更新日は2007年9月10日です。

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※ここでは鷹狩りを応用したリハビリ方法及び、故中西吾道氏の用いた手法を応用した放鳥方法を出来るだけ詳しくご紹介します。必要な方には最低限必要な道具類をご提供する積りです。なお、対象は実際にチョウゲンボウのリハビリを行っている方に限らせて頂きます。

 始めに今回保護されたチョウゲンボウはオスで、前年にここで巣立った鳥らしく、そのまま親と一緒に暮らしていた様です。この為羽根は幼鳥のままですが、野生で10ヶ月位は生活していた事になります。以下はリハビリ中に付けていた日記の一部を抜粋した物ですが、説明として青と赤で今回注記を追加しました。

 餌は初めから食べるだけ食べさせる事にしていましたから、途中で仕込みが中断する事も有りましたた。また、始めは犬の夜の散歩に連れていく程度でしたがそれなりに元気になって飛んで行きました。ここで紹介する内容はあくまでチョウゲンボウのリハビリに関するものですから、他の猛禽類に適応することは出来ません。


2004年3月17日

 午後4時我が家に到着。急だったのでとりあえず犬のケージに入れて暗くしておく。鷹部屋は物置状態だったので、空いていた鳩小屋を改造して夕方6時に放す。

 その夜、脚革を差し(取り付)、口餌を10g程度(強制給餌)食わす。据下(体重)200g(フードと脚革を含む)その後、小屋の中に放す。

※ 脚革だけ付けてイギリは差さず。鷹の仕込では強制給餌はしませんが、体重を落さない為とその後の餌の食いを良くする為に強制給餌を行いました。強制給餌はとは嘴を無理矢理開いて餌を食わす方法です。


3月18日

 朝、小屋の中に作餌(肉片)を入れて置いたが食べず。

※野生の鳥は作餌を入れて置いてもまず食べる事は有りません。

 夜7時フードを付けて小屋から据え出す。上嘴を上に持ち上げると素直に口を開き、そこに箸で肉片を咥えさせると素直に飲み込んだ。その後すぐに要領を覚え、肉片を嘴の横に当てると自分から食べるようになった。

 終わりに据下を計ると220gと今日与えた鳩の胸肉分増加していた。

※昨日の強制給餌の効果が出て今日からは素直に食べ始めました。また、始め据え出した時には顔をそむけていたが、終わりには正面を向いて尾も引いてまっすぐ止まって来ました。無論フードを付けての話ですが、馴れるに従い次第に体が柔らかくなって来ます。それは拳を握る握力の強さや羽根の締まり具合で分かります。但し、据え方が悪いと安心して乗ってくれません。


3月19日

※昨日に続き作餌を入れて置きました。

 昼間は何も食べていなかった。夜7時いつもの様にフードを付けて据え出す。まず据下を計ると190gに落ちていたので、餌積り(与える餌の量)を30gとする。恐怖感が薄らいできたせいと昼間動き回った様で食いつきが良く、箸では食べにくいので、一本の箸の先に肉片を差して20gを飼う。その後犬の散歩に連れて行く。途中フードを外してみると体を反って警戒し、明るい所では飛ぼうとする。散歩から帰って残りの10gを飼う。指で持って嘴の横に持って行き、声掛けをすると自分から咥える様になった。

※フードを付けているだけで仕込みの段階が1週間から2週間進んだ状態と同じになるのですが、フードを外すと元に戻ってしまいます。しかし、全く初期の状態に戻る訳では無く、据えた分だけは進歩が有ります。


3月20日(土)

 午後2時頃、ウズラを買い求めて来て小屋の中に放す。しばらくして見るともうすでに殺されていた。そのままにして夜七時に据え出す。据下228gウズラを食べているのでかなり据下が高く、餌持(えもち:そのうの事)に10gほど有りそうである。その後、小屋の中で30分ほど据えて終わる。

※やっと元気になって来たので、生餌を飼う事にしました。本当ならば毎日でもしたいのですが、店に1羽しか無くて今日1日だけになってしまいました。健康維持の為には1週間に1回位は生餌を食わせてやりたい物です。また、ペリットを出させる為にも必要です。

 さて、チョウゲンボウを鷹狩りに使えないかと言う問い合わせが有りましたが、日本では使いません。海外では使うようですが、本などを読むと誰も薦めてはいません。日本ではコチョウゲンボウ(差羽:サシバ)がまれに使われて来ましたし、最近ではアメリカチョウゲンボの様な新種も持ち込まれています。チョウゲンボウと名の付く鳥ではこの2種以外は止めた方が良いと思います。労力に見合った結果を出せる物でないと狩には使えない(使わない)と思います。但し、それほど結果を求めないので有れば使い方はあると思います。追々ご紹介したいと思います。

 話が横道にずれてしまいましたが、この様にウズラなら難なく仕留めてしまいます。都会型のチョウゲンボウでは90%近くがスズメなどの小鳥が主食で、残りがネズミや昆虫等になっているそうです。また、橋脚に営巣して河原などのカヤネズミ等を主食にしているチョウゲンボウではその比率が逆転しているそうです。出来れば野生で主食にしている獲物に近い物を与えるのが一番良いと思います。


3月21日(日)新月

  昨日の食い残しの96gを入れて置き、水舟(水浴び用のタライ)も入れる。夕方、残りの餌殻(えがら:骨ばかりの食残し)を計ると27g有り、69g食べた事になる。また、水浴びもした様子。

※昼間はたまに覗く事は有っても長時間居る事はしません。人を見ると驚いて飛び回ったりするからです。また、長い事水浴びをして無かったので水舟を使わせました。

人間が加工した作餌では食べませんが、自分が殺した物はちゃんと覚えていて入れて置くと食べます。

 夜9時頃据え出して据下を計ると224g、餌持ちには何も無くウチ(糞)も二回つく。家から少し歩いて畑道に入った所で、いよいよフードを外す。始めしばらくは暴れたが、じきに落ち着いて拳に乗るようになる。また、飛んでもそのまま拳に戻る事を覚える。また、大きな木を見ると木移りしたがって暴れたが、段々慣れて来て街灯の下も通過出来る様になり、家までフード無しで帰り着く。この間1時間半据えてそのまま家の中の台架に繋ぐ。

※慣れて来るとウチも良くつくようになります。為れていない時には拳の上では1回もしません。これはチョウゲンボウに限った事では有りません。


3月22日(月)

 夕方小屋の中から据え出して家の中で据下を計ると190gだった。その後餌殻で、37gを飼い据下を計ると225gになっていた。また、今日は自分から嘴を下げて食うようになった。

 夜10時、雨が止んだので犬の散歩に連れて行く。 しばらく歩いて農道に出た所でフードを外す。帰りに向かい風になった時に羽を割り、風を掴んで浮き上がった。羽ばたきはせず、凧の様に足革で引っ張られて空中に浮いて気分は空を飛んでいる事だろう。街灯の下でも据前(私)の顔を見なくなった。

※馴れて来ると段々自由な行動を取るようになります。この辺が鷹とは違う所のようです。仕込み始めの頃はフードを取ると拳の上で飛びもしないで体をこわばらせじっとしていましたが(実際は怖くて飛んで逃げる事も出来ない)、少し状況に馴れると拳しから飛んで逃げようとします。しかし、野生の鳥はぶら下がる事がいかに危険かすぐに理解しますから、拳に戻るようになりす。そして今日は自分がしたい事を始めました。もし、犬がいなければ1日位は早く仕込みが進んでいたかもしれません。


3月23日(火)

  いよいよ今日から本格的な据え回しに入る。始めにイギリを付け、今回始めて丸鳩入れを付けてキジバトを入れてフードも使わず据え回しに出掛ける。今までは据え回し中には一切、餌を飼ったりしなかったが(犬の散歩のついで)、今日からは口餌を付けて据え回す。お陰で街灯の下も問題無く通過出来た。 片胸を飼い据下は190gから225gになっていた。

※据え回し中、口餌は出来るだけ飼わない方が良いのですが、食事も兼ねているので積極的に食べさせる様にしました。


3月24日(水)

 夕方6時半頃据出す。未だ外は明るく鳩小屋の前で暴れる。落ち着いてから餌を飼い、台架に繋ぐ。据下はフード無しで182gから213g。片胸と片足都合49g。

※新しい環境に馴れなくて暴れたりしたら、落ち着ける場所にすぐ入ったりして、(この場合は鳩小屋の中等)落ち着かせます。


3月25日(木)

 今日から口餌籠と羽づるに変え、外れていたイギリを差し直し夜中に40分ほど据える。昨日のように顔を見入る事も無くなったが、羽づるを食べ終わったら騒ぎ始めた。夜は家の中の台架に繋ぐ。43g飼う。

※この鳥の場合、この時期は40gが最適な1日分の餌の量(持餌)でした。

※食べさせるのが目的なので、据え回し中に飼い終わる様にしています。この為、満腹になって騒いでも仕方有りませんが、鷹狩り用に仕込むのでしたら、この位仕上がって来たら口餌はもういらないでしょう。


 3月26日(金)

 据下、フード無しで200。本日より朝据を始める。5時15分に据え出し、鷹部屋の前の芝生で据回しを行う。かなり明るくなって緊張の為口餌に付かなくなったので家の中に据え込んで、口餌に付けててから玄関の出入りを4回した所で外でも平気になったが、その後腹が一杯になって家の中でも口餌にも付かなくなったので、鳩小屋に放す。6時40分。29g

※鷹の仕込では鷹は放したりせず、繋いで置きますがリハビリでは状況に応じ、繋いだり放したりする必要が有ると思います。また、朝据えが始まった時点でもうフードは必要有りません。

 飲み会の為、帰りが遅くなり、10時過ぎに犬の散歩に連れて行く。口餌で47g飼い、家の中の台架に繋ぐ。

※鷹の仕込では飲酒は禁止されています。夜中に暗い道を歩くのですから、飲酒は事故に繋がりますし、鷹の心を読む力が鈍くなるので、リハビリ中もお酒を飲んだら鷹を据えないようにして下さい。


ただ今、続きを製作中です。

 

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