信州は日本の屋根と呼ばれる3000m級の高山が連なり、全国から登山客が訪れます。 当然の事ながらアルペン的な風貌をもつ高山に目が向けられ、アプローチの途中にある前山や里山に
興味を抱く人はほとんどいません。人家に近く標高が低い里山は薪を集めたり、山菜やキノコをとったり 狩りをしたりと、そこに住む人たちにはなくてはならない存在でした。生態系を壊さない程度に手が
入れられた自然林は植物層もそこに住む動物達も豊かで、村人達に豊かな恵をもたらしていたことでしょう。 里山には地図に記載されていない道が無数にあります。頂上に向かうことを目的とした道造りは
されていないのですが、歩きやすそうな所を求めて歩いた結果、自然にできた踏み跡が現在の道となって 残っているのです。ところが今ではキノコを取りに入るぐらいになってしまったので、道が藪に覆われ
倒木も放置されていたりして、道形が定かではなくなってきています。こんな里山には魅力がいっぱい 詰まっているのです。
まず第一に登山する人が全くいないので、山を歩いていても人に会うことがまずない。まれにキノコ取りの人に
会うぐらいで、むしろ猿やカモシカにお目にかかる方が多い。(熊もいるようだがこれはちょっと
遠慮したい)聞こえてくるのは自分たちの足音と里からの音だけ、実に静かな山歩きができる。
次にルートが藪に埋もれていたりして判然とせず探しつつ歩く楽しみが味わえる。わからなくなったら
適当に(強引に)直登したり、下ったりしても何とかなる。さらに樹の間がくれにちらちらと、北アルプスを
はじめとする高山の展望や人家が点在する里の伸びやかな風景が眺められる。動物達(サル、蛇、カモシカ、・・・)
と面会できる。等々
次に注意しなければいけないことは、或る程度ルートファンディングができること。といっても藪の中で
どうなっているのかわからないことが多いので、勘に頼ることがしばしばある。勘は経験の積み重ねです。
事故があるとどうしようもなくなるので、単独行はさけること。天候や防寒に対する備えや、万一のための
食べ物の用意、これは常識ですね。またキノコのシーズンには止め山になるところが多く、ビニールテープが
張り巡らせてあって、入山禁止などと張り紙がしてあります。山の持ち主はこの季節はとても神経質に
なっているのでキノコには絶対に手を出さないこと。山歩きを目的としている旨はっきり告げること。
無用なトラブルはさけるべきです。
あまり目的地到達にこだわるのも良くありません。頂上にいけなくてもかまわない、思ったところに
でられなくても構わない、ハプニングを楽しみ、山を歩くことを主眼に出かけたいと思います。
では私が今までに歩いた里山を次にご紹介いたします。
※光城山、長峰山を除き最近熊の出没が盛んになっています。単独行は避け、鈴やホイッスルなど音が出るものを携行して、ここに人が来たんだぞ、と熊に知らせてやることが肝要です。 |
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岩殿山 1008M |
坂北村 差切峡の南にある山。露岩が点在し下手に迷い込んだら無事じゃ済まない山塊として知られているが、 行ってみたらあれっ?という印象。小仁熊ダム(工事中)の北西菖蒲川の奥にある萩集落(廃屋のみ)からの ルートを取った。強引に車で行ったけれど舗装路から先は歩いた方が無難。約1キロ、20分ほどで萩集落の 廃屋につく。要所に指導標があり迷う心配はない。杉や檜の造林地、自然林の中の快適な緩やかな登り。 歩く楽しさが実感できるとても良い道です。廃屋を過ぎて20分ほどで尾根にでると、木の間から目指す ピークが見える。まもなく遙拝所の石碑があり尾根がやせてくる。両側に木が生えているので危険は全くない。 山腹を巻くように進むとまもなく尾根に出 急降下する。地図にある岩殿山はここから南へゆくのだが展望が 利かないようなので北上する。程なく天狗岩、いったん下ってのぼり返して本殿につく。萩から丁度一時間。 本殿は巨岩の下にあり展望は利かない。すぐ右にある踏み跡をたどるとその巨岩の上にでることができる。 すぐ北にあるピークに邪魔されて蓮華岳から白馬の間は見えないけれど、素晴らしい眺め。 予想に反してスリリングな山歩きはなかったけれど、歩く楽しさが満喫できる山として、とてもいい山です。、 岩殿寺からのルートも機会を見つけて歩いてみたい。 |
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四阿屋山 1387M |
長野道麻績インターから7,8分、クアハウス坂井入口を左折、小さな橋を渡ると山道に入る。対向車が 来たらどうしようという道だが舗装してある。2K程で舗装がとぎれるがそこが登山口(標高900M) 車はかろうじて2台おける。九十九折りの急坂を20分登ると稜線に出る(1080M)林道四阿屋線から 登る道がここに上がってきている。稜線に出てからは傾斜が緩くなる。尾根歩きではあるが雑木が生い茂り 遠目が利かない。(20分ほど歩くと西方の展望が開けている所が一箇所だけある)ブナの木が出てくると (五月はじめにはカタクリの群生が見られるらしい)山頂は近い。意外に大きな奥社の神殿を回り込んだ裏が山頂で 三角点があり、林が切り開かれてアルプス方面が見える(らしい)。1080M地点から40分。 道はきわめて明瞭、手入れもされていて大変歩きやすい。すべて雑木林で、四季それぞれの魅力ある森歩きが 楽しめる。今回は坂井村の漸々沢からのルートを取ったが、坂北村栃平沢からの道もある。次回は天気の良いときに そちらから行くつもり。 |
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霧訪山 1305M |
きりとうさんと読む。塩尻と辰野の間にある小野駅そばの小野神社のすぐ西、歩いても10分程の所に
登山口がある。駐車場があり8台ほど置くことができる。登り口には“名峰霧訪山登山口”の横断幕!が
立木にかけてあるので間違うこともない。松林の中急斜面を登る。林中に御岳大権現の石柱があり、
下の町が木の間から透けて見える。すぐに高圧線の鉄塔に出る。ここまで15分。南方足下小野の町が
よく見える。ここから傾斜が少し緩くなり楽になる。20分ほどで見晴台(北方がよく見える)、さらに一登り
8分ほどで待望の山頂へ。登山口にあった”名峰”の表記が決して誤りでないことが実感できる素晴らしい展望台だ。
信州のほぼ中央に位置し、周りには視界を遮る山がないのだから当たり前だけれど。標高がさほど
高くないのがまたいい。名のある山をすべて仰ぎ見る形になるので高さが実感できる。立派に見える。
山頂から北に明瞭な道が続いているので下山ルートはこちらをとることにした。10分ほど下ると
”下西条口分岐”の道標が立っている。大芝山方面に向かうと道が怪しくなり踏み跡をはずさないよう
注意して下る事になる。木に葉がある季節だと難渋すると思う。雑木林の中を15分くらい下ると
NO.21と書かれた鉄柱に出る。高圧線の巡視路でここから道は明瞭で格段に歩きやすくなる。
すぐに高圧線の鉄塔に出、さらに5分ほどで林道に達する。さらに15分で中ノ沢堆積場入口と
表示があるところにつきここからは舗装路となる。国道まで約20分、車にたどり着くまであと25分だった。
下山に要した時間90分は登りの倍だけれど、、往復だけだともの足らないので丁度よかった。でも山歩きに
なれてない人は来た道を戻るのが無難です。西条口へ下る道もそんなに悪くなさそうなかんじで
次回はこちらから登ってみるつもり。
ということで下西条口から登りました。矢沢川沿いに奥へはいる(といっても人家がとぎれてから1km程、
道は細いけれど舗装してある。適所に案内表示がありスムーズに登山口までたどり着ける。6,7台の駐車
は可能。つづら折りの急登も自然林の中の涼しい道で楽に歩ける。支尾根に取り付く頃から傾斜が少し緩やかになり
高圧線の鉄塔に出る。塩尻は送電線銀座といわれるだけあって至るところで鉄塔に出くわす。もっともそのおかげで
関連する道の手入れがされ歩きやすくなっているのだけれど。ここまで25分。鉄塔の下をくぐり緩やかな
登りが続く。一カ所だけ高ボッチ方面の展望が開けているところがあるが、雑木が茂り眺めは良くない。
山頂まであと45分の標識の所から山腹を巻く道となる。(実際はそんなにかからずあと20分くらい)
5,6分で尾根に出る。大芝山分岐の標柱がたっている。ここから直線の登りで急登。東側は檜の造林地、
西側伐採され北アルプスが見えるようになれば山頂はすぐそこ。こちらのコーズ、手入れも行き届き歩きやすい道で
感心した。すべて自然林でキノコ山でもないのでビニールテープも張ってなくうっとうしさもない。
登り 60分、下り40分。
帰途塩尻市役所によったら”下西条の里山と霧訪山”という案内マップが置いてあった。正確な地図、
見て楽しいイラストマップ、カラー写真入りの花や周辺の紹介と完璧な内容のパンフレットで、こんな
素晴らしい出来映えのものにはお目にかかったことがない。一家に一枚必需品!?です。
この地図を見るとこの周辺まだまだ歩けそう。そのうちレポートします。
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鍬の峰 1623M |
大町市の南端、葛温泉のすぐ東にある山。安曇野から見ると爺ガ岳の左手前、三角形にとがって見える山です。 登山口へはJR信濃常盤から西へ餓鬼岳登山口へ向かい(途中、コングランドがある)、餓鬼への分岐を 通り過ぎ500Mほど行くと、右側に送電線の標注”高瀬川線NO。18”が立っている。車は4台ほど 駐車できる。15分ほどで送電線に達し鉄塔の足をくぐって登りが続く。このあたりシャクナゲの木がいっぱいあり 花が咲く時期が狙い目。(6月中、下旬)踏み跡は明瞭で迷う場所はなし。伐採されているので山頂からの 眺めは一級品。烏帽子岳から爺、鹿島槍まで眼前に並ぶ。大町市街を眼下に、安曇野も遙かに眺められる。 眺めの良さは横綱級といえる。登山口から登り100分。(2.5万図 大町南部) |
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京ケ倉 990M |
生坂村の生坂ダムの東北にある山。明科から10分ほどでダム湖に達し、新しくできたトンネルを抜けて 1,2分三井石油のガソリンスタンドが左手にある。(地区名は下生坂)そのすぐ先を右折、300M程で 突き当たるのでまた右折、50Mほどいった畑の縁を山へ向かう道が登山道。実はこの道は山の向こうにある ”入山”に住む人たちの生活道路で子供達の通学路であったのだ。そのためとても歩きやすい道で、 標高差300M以上あるにも関わらず30分足らずで稜線にでてしまうのだ。それにしても昔の子供達は 偉かったものだ。稜線にでて右へたどるとまもなく大城(昔砦があった)につく。ここからがこのコースの ハイライト、スリルが味わえる山歩きが始まる。京が倉のピークを挟んで、この先どういったらいいの?と 迷うところが随所にある。露岩が露出し構わずそのまま行くと、ん!と後ずさりしなければならないところも あり、こんなおもしろい山は滅多にない。勿論展望は素晴らしく北アルプス連峰が屏風のように連なって いるのが眺められる。東に下ってしまうと少し面倒なので(車までたどり着くのが)注意しつつ進むとやがて 露岩がなくなり穏やかな森の道となる。ほどなくゴミの集積地(ちょっと大げさだけど)がありそこから 西へ下る道がある。途中道が崩れていてわからなくなったりするけれど適当に沢づたいに下れば何とかなる。 温泉(鉱泉?)を引くホースがでてくればもうまもなく国道は近い。ここまで昼食を含めて4時間余り。 ちょっと遊びすぎかな?でもとってもおもしろいコースです。(稜線の岩場は強引に進めば何とかなる、 どころか足を滑らすとただでは済まないところも何カ所かあるので、慎重に行動すること 警告!) (2.5万図 信濃池田、明科 なおどちらの図にも京が倉の山名が記載されているが、今回行ったのは 北の方で南の明科の方まではいっていない) |
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金松寺山 1625M |
松本電鉄上高地線新島々駅北方にある山。梓川村大久保にある金松寺の脇を登る金松寺林道を進むと2km位で 車止めのゲートに着く。車は2台くらい何とかおけるようだ。2kmほどたどると林道が終わる。登山口の標柱に 従って登りが始まる。よく手入れされた山道で檜の植林地をひたすら登る。カモシカの食害を防ぐために 防護柵があった。90分ほど歩くと展望が開け、浅間山、八ヶ岳、南アルプスが遠望できる。しばらく山腹を 巻くように進む。しだれ唐松と名付けられた枝のたれた唐松(かなり情けない樹形をしている)がたっている。 再び樹林にはいり、天狗岩への分岐を過ぎ一登りで頂上へ。三角点と”頂上”と書いた棒がないと通り過ぎて しまいそうところで、展望は全く利かない。このルート、道は明瞭で迷う所はない。帰路は同じルート。 ゲートから山頂まで2時間(2.5万図 波田) |
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角蔵山 1163M |
堀金村 須砂渡のすぐ南に位置する山。登山口は堀金村岩原にある旧家”山口家”の南、石仏の立つ四つ角を 山に向かって進む。林道で路面がかなりでこぼこしているので普通車ではつらいかもしれない。2km近く走ると 右側に”住吉神社奥宮入口”の古びた標柱が立っている。車は3台ほど置くことが可能。山道にはいるとすぐ 道が二手に分かれる。左は植林地へ消えて行く道、右を取り小さな木の鳥居の下をくぐって急登する。 赤松の混じった雑木林で明るい道。20分少々で稜線に飛び出す。右(北)へ行けば3分で奥宮につく(地図に 1086mとあるところ)分岐まで戻って南に歩を進めると木の間がくれに常念岳がちらちらとみえる。 緩やかな起伏を進むと、やがて伐採され檜の幼木が植林された眺めの良いところにでる。安曇野の眺めが見事。 林に入り今度は西が切り開かれたところを登るようになると頂上は近い。振り返ると白馬連峰も眺められる。 ここまで林道から1時間。さらに南へ30分少々で東峠へ(途中から林道になる)峠からは右へ下ると 約5kmの林道歩きで、”ほりでーゆー”につく。 角蔵山へのルートは他にもある。須砂渡入口の山神社の少し手前、公衆トイレの脇を登る道をとると15分くらいで 眺めの良い禿げ山へ。さらに登ると古城山に着く。このあたりから道が怪しくなり、待望の?藪こぎとなる。 尾根をはずさないように登っていくと前記の奥宮にとびだす。この間ずっと暗い樹林帯で遠目は全く聞かない。 なお古城山への登り口あたりと、角蔵山の東斜面はキノコの留山となっているのでシーズンには入らないように。 角蔵山を北に少し下った鞍部から東へ下る道があるが直ぐに道が消えキノコ山となる。入らない方が無難。 (2.5万図 信濃小倉) |
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光城山 911M・長峰山・933M |
北アルプス南部と安曇野の展望台として知る人ぞ知る名山。篠ノ井線田沢駅から国道を北へ7.8分歩いた初めての信号を 右折、ガードをくぐるとまた信号があるので左折、15分ほど歩いた新興住宅地の中に登山口の案内看板が立っている。 砂利道を少しはいると駐車場があり20台ほど駐車できる。ここからのルートは2つある。 早いのは右、尾根筋を急登する道で所要30分。この道は桜並木となっていて4月下旬は素晴らしい。左は 山を巻きながらゆるやかに登る道で60分。駐車場の右脇の車道を登るとすぐ山道と変わる。山頂は全山桜の木に覆われ 北アルプスの展望と相まって見事の一言。(花季は4月末だが年によりずれることがある)最近車道があいてしまったので 花時はにぎやか。北へ舗装された車道を進むと10分ほどで道が交差する。ここから左へ下る道は車道でところどころ舗装してあり、 歩きにはつまらない道。そのまま稜線づたいに行くと天平の森と名付けられた施設にでる。(展望浴場と食堂がある) その直ぐ先で道が分かれ右へ進むとまもなく長峰山山頂に。ここまで光城山から50分。山頂は伐採されて いるので四季を問わずすべて眺められる。(残念なことにここには興をそがれる2つの建造物が建っている。 明科町の為政者は税金を無駄遣いした上、町の財産<素晴らしい展望のこの山の魅力>を損ねるという 2重の過ちを犯している。) 山頂からはそのまま北へ向かう道と、眺めを楽しみながら西へ下る道がある。西へとると直ぐに舗装路に飛び出す。 そのまま突っ切って林の中を下る道をとる。よく踏まれた明瞭で歩きやすい道。30分もかからないで明科町立の長峰荘に出る。 なおかなり下った先で別れる道がある。(よほど気をつけてないと見落とす)左を取ると程なく藪に入り強引に下ると北村へでる。 (高速道路のトンネル入口の少し北)光城山登山口に車を置いた場合は近道となる。 北へ向かうと尾根筋を緩やかに下り、しばらくして舗装路にでてそのまま下る。途中右側にため池があり そこから左へ山道を下ると雲龍寺にでる 。明科駅は直ぐそば。山頂からとんとん下れば一時間位。 〔2.5万図 豊科、明科) |
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