洋服とCDと本と、そのうち完成させようとは思いつつ、半年以上ほったらかしにしていた
作りかけのビーズのネックレスと、バッグと化粧箱をダンボール箱に詰め込んでから部屋を見渡して、
すっかり空になったタンスの引き出しにもぐって寝ていたネコを引っぱりだして


「これで終わりかな。」


2日後の結婚式を前に、新居への引っ越しのおおわらわもようやく終わってきて、
5日目にして私の部屋にかろうじて足の踏み場ができた。


あとひとつ、ダンボール箱に入れるのは最後にしよう思って、
部屋の片隅に置いていた果実酒を詰めれば、荷造りは終了だ。


社会人になってからは、ずっと仕事でばたばたしていたので、
果実酒のことはすっかり忘れていたのだけれど、
2年ちょっとくらい前に、社内報で <みんなの子供時代の思い出を書いてほしい> 
と同僚の女の子に言われ、企画の意図をききそびれたままに家に帰ってから
昔のアルバムをながめていて、
はたと思い出したのだった。

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