果実酒のビンをきれいにふくと、あざやかな深いルビー色が浮かび上がってきて、 明け方の空の光りにキラキラ映って、とってもきれいで、寝不足の目にしみこんだ。 |
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ビンの中には、色も形も大きさもまるで違う果物がごろごろしていて、 おもちゃ箱を見ているみたいだ。 おまけにお酒の色がたまに変わって、 たしか小学生の時には淡いピンク色で、中学生のころは深い青で、 高校生の時は甘酒みたいになっていて、大学生の時には透明だったかなあ。 |
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遠い記憶をたぐりよせているところで、 今日最初の電車の音が私の住む住宅街に静かに響いてきて、 | |||||||||||||||||||||||
家のなかで唯一起きていた私を見つけたネコに、カツオの臭いがするざらざらしたキスを 足首にもらってしまい、 |
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朝のごはんを用意してあげなければならなくなった私は、 すぐに現実に引きもどされてしまった。 |
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せっかくあげたごはんのニボシで遊びはじめてしまった ネコと時計を見ると、もう朝の5時少しを過ぎていた。 |
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出勤時間まであと少ししかなかったけれど、 少しは寝ておこうと思ったので、 |
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ほこりまみれになっていたパジャマを着替えなおして ふわふわした気持ちを抱えてベッドにもぐりこんだ。 |
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気持ちのよい眠気が小さな丘に写真をうめた | |||||||||||||||||||||||
あのころを誘って | |||||||||||||||||||||||
夢になった。 |
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