「おかーさん、このむらさき色のカスタネットみたいなやつ、からいよ。」 「あらあら、それね、ひいおじいちゃんの実なの。 じゃあ、こっちのピンクのチューリップみたいなのはどう?おばあちゃんの実よ。」 「うん、おいしい。すごくあまいの。たまこはこれ好き」 「赤いお帽子もあるのよ。これはおじいちゃん。」 「んーとね、おくちのなかでね、わあわあ言ってるよ。」 「こっちの水色のゾウさんはどう?パパの果物よ。」 「おかーさん、苦いよ、たまこたべれない。」 「ふふ、そう?じゃあ、お母さんにちょうだい。」 |
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私の食べかけの水色のゾウを、遠くの空を見ながら1口1口とゆっくり食べていた母は 困りながら笑っていた。 |
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「初めてパパと出会ったころにね、これと同じ果物をもらったの。 お母さんもその時は苦いと思って食べられなくて、 こっそりポケットにいれておいしいって言ったの。 最近になってね、やっと食べられるようになってね。 うん、悪い味じゃあないと思うな。だけどやっぱり、今も苦いかなあ。」 「おかーさん、たまこ おやつプリンのがいい。」 「そうね、たまちゃんにはまだ早かったかな。お家にかえろっか。」 一緒に歌を歌いながら手をつないで家に帰る途中で、 母はこの日一番の企んだ顔で教えてくれた。 「このお家みんなの果物と、これから実るたまちゃんのを入れてね、 お酒を作るの。お砂糖とはちみつをいっぱいいれてね。 たまちゃんも大きくなったら飲めるから、楽しみにしててね。」 |
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