赤ちゃんのころのアルバムは、両親がゾウの形に切りぬいた水色の画用紙に
コメントを書いていたりして、すき間もなくきれいに整理してくれてあるのだけれど、
私の幼稚園くらいの時のアルバムは、どのページも写真がぽこぽこ抜けていた。

家族で動物園に行った時のページには、蛇を肩にぶらさげている係員のおじさんに
おどろかされて泣いていたり、フラミンゴが臭くて吐いていたりとか、
おゆうぎ会の時のページは、森の木の役の私がころんだまま
起きあがれなくなっているところとか、そんな写真がぱらぱらと並んでいるだけで、
まるっきりいいところがない。
なんでこんなところまで写真にとるのかなあと両親をうらみつつ、
抜けている写真はどこへいったんだろうと思いつつも、アルバムをめくっていた。

ページ 1-2

「水色のゾウ?」

ページ 3-4

「そうだ、思い出した。たしか私のちいさかったころに、
家の裏のちいさな丘にうめたんだっけ」

ページ 5-6

いつのころからか小さな丘は、市の区画整理にひっかかったとかで、
今では誰も使っていない小さな公園になっていた。

ページ 7-8

ページ 9-10

「..........たぶんアレはまだ、台所のどこかにあるはず」

ページ 11-12

ページ 13-14

果実酒の事を思い出してからは、なんだか気になってしかたがなくて、
夜中にごそごそと台所をひっかきまわして、

ページ 15-16

新聞配達のバイクの音が聴こえ始めたころ、
床下からうっすらとホコリをかぶった果実酒を見つけて、
こそこそと部屋に運びこんだ。

ページ 17-18
-----おしまい-----

我が家特製の、世界に一つの果実酒だ。
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