赤ちゃんのころのアルバムは、両親がゾウの形に切りぬいた水色の画用紙に コメントを書いていたりして、すき間もなくきれいに整理してくれてあるのだけれど、 私の幼稚園くらいの時のアルバムは、どのページも写真がぽこぽこ抜けていた。 家族で動物園に行った時のページには、蛇を肩にぶらさげている係員のおじさんに おどろかされて泣いていたり、フラミンゴが臭くて吐いていたりとか、 おゆうぎ会の時のページは、森の木の役の私がころんだまま 起きあがれなくなっているところとか、そんな写真がぱらぱらと並んでいるだけで、 まるっきりいいところがない。 |
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なんでこんなところまで写真にとるのかなあと両親をうらみつつ、 抜けている写真はどこへいったんだろうと思いつつも、アルバムをめくっていた。 |
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「水色のゾウ?」 | |||||||||||||||||||||||||||
ページ 3-4 |
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「そうだ、思い出した。たしか私のちいさかったころに、 家の裏のちいさな丘にうめたんだっけ」 |
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いつのころからか小さな丘は、市の区画整理にひっかかったとかで、 今では誰も使っていない小さな公園になっていた。 |
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「..........たぶんアレはまだ、台所のどこかにあるはず」 | |||||||||||||||||||||||||||
果実酒の事を思い出してからは、なんだか気になってしかたがなくて、 夜中にごそごそと台所をひっかきまわして、 |
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新聞配達のバイクの音が聴こえ始めたころ、 床下からうっすらとホコリをかぶった果実酒を見つけて、 こそこそと部屋に運びこんだ。 |
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ページ 17-18 |
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我が家特製の、世界に一つの果実酒だ。 | |||||||||||||||||||||||||||
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