ラ米における人種分布


 ラ米では、北米同様、ヨーロッパ系人種(白人)が支配層の殆どを占める。別掲の
「ラ米の政権地図」で述べた大統領も白人が多く、インディオと呼ばれる先住民のモラレス・ボリビア大統領は例外的存在だ。メスティソ(ヨーロッパ人と先住民の混血)、ムラート(ヨーロッパ人とアフリカ系人種(黒人)との混血)の大統領は結構いるが、ラ米十九ヵ国全体から見れば少数派だ。

米国CIAによるThe World FactBook2008年人口見通し(現在2009年の見通しも出ているが、敢えて08年の数字を使用する)をもとに、下記する。同書が明記しない4ヵ国分の人種構成は、他文献を参考にした。

先住民が国民人口の4分の1以上

  比率   人口  使用言語
メキシコ   30%   33百万人  ナワトル語、マヤ語
グァテマラ    40%   5  マヤ語
エクアドル    25%   3  ケチュア語
ペルー    45%  13  ケチュア語、アイマラ語
ボリビア    55%   5  同上

上記5ヵ国は総面積で470万平方キロ、ラ米全体の24%、総人口で1.75億人、同32%に相当するが、先住民59百万人だけをとれば95%にもなる。

メスティソ(白人と先住民の混血)が4分の1以上

  比率  人口  主要先住民 
メキシコ   60%  66百万人  ナワトル、マヤ、サポテクなど
グァテマラ   57%   7  マヤ
エルサルバドル   90%   7  ナワトル系ピピル、マヤ
ホンジュラス   90%   7  チブチャ系レンカ、ミスキート
ニカラグア   69%   4  チブチャ系ミスキート
パナマ   70%   2  チブチャ
コロンビア   58%   26  チブチャ、アラワク系ワユ
エクアドル   65%   9  ケチュア
ペルー   37%   10  ケチュア、アイマラ
ボリビア   30%   3  アイマラ、ケチュア
パラグアイ   97%   7  グァラニ

 上記11ヵ国は総人口で2.5億人、同45%に相当し、ラ米全体のメスティソの93%を占める計算だ。総面積では660万平方キロ、33%となる。パナマとコロンビアを除くとムラート(白人と黒人との混血)も含むので要注意。

アフリカ系人口が多い国々

    黒人   ムラート(白人との混血) 
 比率 人口   比率  人口
ブラジル    6%   11.9百万   39%    73.9百万
ベネズエラ   10%    2.6  不明 
コロンビア    4%     1.8   14%     6.3
パナマ    不明       14%     0.5
キューバ*   11%    1.3   51%     5.8
ドミニカ共和国   11%    1.0  73%     6.9
 ニカラグア   9%    0.5  不明 

 パナマを除く上記6ヵ国で、ラ米における黒人人口の96%を占める。コロンビア、及びニカラグアを除く4ヵ国の人口は大国ブラジルを含むにしても2.4億人、同43%、総面積958平方キロは48%に相当する。ベネズエラ(66%が混血。ムラートの数字は上表では不明とした)の過半数は、メスティソと思われる。

ヨーロッパ人種(白人)の多い国々

   比率  人口
アルゼンチン   97%   39.5百万 
コスタリカ   94%    3.9
ウルグア  88%    3.1
ブラジル   54%   103.0
キューバ  37%    4.2

 国として白人が最も多いのはブラジル。アルゼンチン、ウルグアイ、コスタリカ及び、上記には入れていないが感覚的に白人国のチリを含めた4ヵ国の人口は、6,500万人、全体の12%で、面積は375万平方キロで19%。白人人口だけでみると4ヵ国合計約5千万は全ラ米の4分の1以上。先住民はケチュア系マプチェ(チリ及びアルゼンチン)、グァラニ系(ブラジル、アルゼンチン及びウルグアイ)、アラワク系(ブラジル)及びチブチャ系ブリブリ(コスタリカ)などがいる。

*最新のThe World FactBookでは、キューバの白人比率65%ムラート比率25%、と大幅に変更した。私個人の実感もこれに近いが、一般的に通っている2002年のCensusをここでは採用した。




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