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地域統合で有名なのは何と言っても欧州連合(EU)だろう。言語が異なる28の主権国家が、一人の大統領(正式には常任議長)、行政府(同、欧州委員会)、中央銀行、議会、及び司法裁判所を有し、ヒト、モノの移動も自由で、恰も領土面積432万平方キロ、人口5億人の国家として纏まっているかのようだ。大半では一つの通貨、ユーロを異なる国の中で流通させる。最高意思決定は、欧州委員長も出席する首脳会議(サミット)、即ち欧州理事会が行う。南欧諸国の危機で統合体の難しさと、首脳たちが頻繁に顔を突き合わせ問題解決に奔走する実態としての統合体を、世界に見せつけた。 このホームページで言うラテンアメリカ(ラ米、以下、同)は18のスペイン語諸国と1つのポルトガル語国、ブラジルを指す。イベロアメリカ、とも言う。領土面積なら、EUの約5倍で広大さが眼につくが、人口はやや多いと言ったところで、国数も使用言語数も少ない。だがイベロアメリカとしての統合体は、目指すEUのそれと比較して、発展途上にある。最も纏まり易い筈の地域毎、或いは似た者同士の個別統合ですら、確かにEU型の関税同盟形成には漕ぎ着けたが、行政機構及び司法(弱体)も議会(人口に無関係の同一議員数)も夫々に問題を抱え、機能万全とは言い難い。 ラ米で、組織上ほぼ完成した統合体(名称は青字で表記)としては
がある。運営上事務総長も出席するサミットを最高意思決定機関と位置付け、行政府たる事務局(本部)、司法裁判所及び議会を持つ点でEUに似る。ただその統合銀行には中央銀行の機能を持たせていない。またチリがCANとメルコスルのいずれにも加盟しないのは、元々関税が低い同国には関税同盟が馴染まないことが大きい。 発足が遅く組織的には発展途上にある地域統合体が;
であり、CANとメルコスルを補完し合いながら、外交などの統一性や中央銀行創設を追求しているところがEUに似る。ただ関税同盟としての統合体ではない。 また飛び地的統合体には
がある。ただ、モノ、ヒトの流れを自由にした経済統合体としては、特殊だ。統合銀行を持ち貿易決済に共通通貨スクレを使用できる点で他ラ米統合体に先行するが、他の点では、創設後6年経って漸く事務局の創設が決まったばかり、と遅れている。 米国との自由貿易協定(FTA)をベースとした統合体には、
があるが、行政府や司法裁判所、議会を有する統合体ではなく、要するに多国間自由貿易協定で結ばれたものだ。域内の流れの自由はモノに限られる。関税自主権が前提であり、関税同盟を軸とした統合体とは異なる。 メキシコと、国別の対米FTAを結んでいるチリ、ペルー、メキシコの4ヵ国は
を構成する。発足して間もなく、まだ事務局も置かれていない。モノ、サービス、ヒト、資本の移動を自由化に向かうことを確約している。近く議会を立ち上げる、とのことで、加盟要件は加盟各国とのFTAであり、コスタリカが2013年中に加盟国入りすべく動いている。 ところでラ米でサミット、と言えば、直ぐ米州サミットを想起する。米州は米国、カナダを含め35ヵ国で構成される。サミットが初めて開催されたのは1994年12月、その土台になる米州機構(OAS)発足から何と43年も経ってからだ。それ以後のサミットの頻度も3、4年に一回である。米国の大統領がラ米首脳と一堂に会するのは任期中1、2度、連続再選となっても2、3度に過ぎない。これには、キューバだけが排除されている。 以上を念頭に、ラ米の地域統合を見て行きたい。 |
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