改め
サロン及び翻訳城
今月の言葉 <いま私は、上に述べきたった学説が、創造の計画の崇高な観念を叙述することによって、もっとも魅力あるものとなる部分にさしかかっている。私をそこへと導いていった思考の順序は、簡潔で自然である。それは以下のごとくである。多くの恒星からなる一体系があり、天の川の構造をそのようなものであるとみなしたように、諸恒星がそれらの位置において、ひとつの共通の平面に関係するものとしよう。もしその体系が、体系内の個々の星を見分けようにも、もはや望遠鏡においてさえ不可能になるほど、われわれから遠ざけられたならば、またはその体系までの距離と、天の川の星までの距離とが、ちょうどわれわれから、天の川の星までの距離と、太陽までの距離とに同じ比率ならば、要するに、そのような一つの恒星集団の世界が、その外にいる観測者の目から、測りしれない遠方において眺められたならば、この恒星世界は、わずかな角度において、かすかな光でもって照らされた、小空間として現われるであろう。その形状は、その平面が視線に対して垂直に向かうならば、円形であろうし、側面から見られるならば、楕円形であろう。光の微かさ、形状、および直径が見分けられることから、もし存在するならば、そのような天象は、個々に見分けられるあらゆる星々から、はっきり区別されるであろう。 ・・・ここで述べているのは、星霧あるいはその一種といえるものである。それについて、モーペルテュイ氏は次のように記述している。――「何もない天空の暗闇よりも、少しだけ明るい小さな部分があり、それらはみな、多かれ少なかれ楕円形をしており、天空に認められるほかのどの天体よりも、その光がはるかに弱いという点で、共通している。」天文神学の著者[w・ダーハム]は、これは天にあけられた穴であろうと想像し、そこから火天(最高天)がのぞけるものと信じた。・・・ はるかに自然で、わかりやすいのは、それらが個々の巨大な星ではなく、たくさんの星からなる系であり、遠方にあるために、そのように狭い空間にしか現われず、個々では見分けられない光が、無数に集まることによって、一つの青白い微光となって現われるのである、ということである。われわれの存在している、諸恒星の系との類比、われわれの学説によれば、まさにそうでなければならない形状、無限の遠方にあるという前提のもとに、要求される光の弱さ、これら三つのことが完全に符合して、これらの楕円の形状をした天象を、われわれがその性状を述べきたったものと同じ世界秩序、いわば銀河系であると見なせるのである。そして類比と観察とが完全に一致し、支えあう、そのような推論が、正式の証明と同じだけの価値があるならば、これらの銀河系の存在が確かであることが、決定されたものと見なさざるをえまい。 さらに推測をおし進めれば、これらのより高い世界秩序(銀河系)も、相互に関係がないわけではなく、この相互関係により、さらに測りがたい一つのシステムをなしているであろう。・・・ 上に述べた学説は、創造の限りない領域に、一つの見通しを開くものであり、偉大なる造物主の無限性にふさわしい、神の作品の一表象となるものである。その中では地球が、ほとんど目にとまらぬ砂粒のようなものである、一惑星系の世界構造の広大さが、悟性を驚嘆させるならば、天の川全体を満たす無慮無数の世界と系とを目にするならば、どれほどの驚愕に打たれることであろうか。そればかりか、全てのこれらの数えきれない星々の秩序が、果てのない一つの数の、一つの単位をなすものであり、おそらくはそれもまた、前者と同じく測り知れず巨大であり、しかもまたそれも、新たな数列の一単位であることに気づくならば、この驚愕はどんなに増すことであろうか。われわれは、世界とシステムとの前進する(段階的な)関係の最初の諸項を見ているのであり、この無限の前進の最初の部分は、すでに全体について何を推測すべきかを、認識させるのである。ここには終わりはなく、真の無窮の深淵があるのである。その中では、もし数学によって救い上げられなければ、人間の思考のあらゆる能力は沈んでしまうのである。啓示された叡知と善と力とは無限であり、それに応じて豊饒であり、活動的である。したがって、それらの啓示の計画もまた、それら同様に無限で、果てしないものでなければならない。> ――イマヌエル・カント「天界の一般自然史と理論」より |
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