エポス文学館 改め 

 マリネコ文学館


今月の言葉

<人生は、現在と過去と未来との三つに区分される。今生きている時は短く、未来は不確かであり、ただ過去だけが確かである。過去は我々に与えられた時の中で、侵されることのない、完成された部分であり、人間につきもののあらゆる変遷を免れており、偶然の支配から放たれ、欠乏も惧れも病も、それを乱すことはない。この部分は、曇らされることも、奪われることもない。これの所有は、安泰であり、平穏である。現在は、ただ幾日かからなるに過ぎないし、この日々も瞬間からなるに過ぎない。それに対して、過去の日々は、君がそれを持ちたいと思うならば、そのたびに君の記憶に現われ、君はそれを思いのままにながめ、保持することが出来るのだ。(10)

 おのれの時間を叡知に捧げるものだけが、閑暇の中に暮らしており、そういう人だけが、真に生きているといえる。なんとなれば、彼らは自身の一生の時を善く使うばかりでなく、ほかのあらゆる時代をも、おのれのものにするからである。彼ら以前に、人々が生きたすべての時代もまた、彼らに属するのである。われわれがまったくの恩知らずでない限りは、あの名高い宗教の開祖たちは、われわれのために生まれたのであり、われわれに正しい人生の道を示したのである。われわれの蒙を啓いて光り輝く、最も美しいものへと、われわれは他の者たちの功績によって導かれるのである。(14)

 いかなる世紀も、われわれに閉ざされてはいない。あらゆる世紀に、われわれは踏み入ることができる。われわれが高い意識をもって、人間的弱点の限界を超えようと思うならば、遙かな時をさかのぼることが出来るのだ。われわれはソクラテスと議論することも出来、カルネアデスとともに懐疑し、エピクロスとともに心静かに暮らし、ストア派の人たちと人間の本性を克服し、犬儒派の人たちと人間の本性を越えいでることが出来る。物の本性(自然)が、どの時代ともその仲間として付き合うことを、われわれに許しているのであるから。この取るに足らない移りゆく瞬間に背を向けて、われわれがもっとも高貴な人びとと共有する、この計り知れない永遠の中に、全身全霊没頭しないでよいわけがあろうか。(14)

 確かにして高貴な閑暇の中に、君はひきこもるがよい。君が穀物の心配をして、調達者が騙したり、手抜きをしたりして、損失をこうむらずに納屋に収められているかとか、湿気によってふやけてしまわないか、正しい容量と重さがあるかどうかとか、わずらうことと、君が神聖にして高尚な問、神々はどのような存在であるのか、彼らにはどのような享楽が属し、どのような状態でおり、どのような形態であるのかとか、君の魂にはどのような運命が待っているのか、われわれが肉体を脱ぎ去ったときに、自然はわれわれをどこへと運ぶのかとか、また、とてつもなく重い天体を、平衡状態に保っているのは何であり、軽いものの上にそれらを漂わせ、最高の光へと上昇させ、星々を回転させるものは何であるかとか、そのほか至るところにある不思議な物事への問に取り組むこととが、君は同じだけの重要性があると思うだろうか。君はこの地上を後にして、魂となって彼方へと飛翔することを欲するか。肉体の中を血が温かく流れている今こそ、新鮮な生命力によって、かのより高貴なものへとおもむかねばならない。この生き方をするならば、沢山の高貴な学問や、徳性への愛とその実行、欲望の滅却、生と死に対する正しい知恵、崇高なる閑暇が、君を待っている。(19)>

    ――L・A・セネカ「人生の短さについて」より(その二)

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